私の働く病院の現場に、新しい検査装置である「FilmArray(フィルムアレイ)」が導入されました。
この装置は、感染症の検査においてまさに革命的とも言える素晴らしい性能を持っています。
しかし、現場でこの装置を使えば使うほど、患者さんへの素晴らしいメリットの裏で「なぜ日本の医療現場は報われず、給与も上がらないのか」という構造的な闇が浮き彫りになってきます。
臨床検査技師として、そして投資家としての視点から、この医療とお金の実態についてお話しします!
従来数日かかった検査が「約1時間」で完了する凄まじさ
これまでの血液培養検査や重症感染症の同定検査は、菌を培地で育てる(培養する)必要があったため、結果が出るまでに数日から1週間ほどかかるのが当たり前でした。
その間、医師は経験則で効きそうな抗菌薬を投与するしかありませんでした。
しかし、FilmArrayは遺伝子解析(PCR法)を用いることで、わずか1時間程度で数多くの病原体や薬剤耐性遺伝子を同時に自動検出してくれます。
- 原因菌が即座に特定できる
- 効かない薬をダラダラ投与せず、初回からピンポイントで最も有効な薬を使える
患者さんにとっては敗血症などの重症化を防ぎ、命が助かる確率が飛躍的に高まるという、圧倒的な利益(QOL向上)をもたらす素晴らしい技術です。
医療の質が上がっても「やればやるほど赤字」という現実
では、こんな素晴らしい装置が導入されて病院や技師が潤うかといえば、現実は全く逆です。
FilmArrayは使用する専用試薬が非常に高額です。
そこに装置本体の減価償却費、毎年の高い保守契約費、そして操作する技師の人件費などを計算に入れると、算出される診療報酬点数では到底コストを回収できず、検査をやればやるほど病院としては赤字になってしまいます。
さらに致命的なのが、入院患者に対する「DPC(包括払い制度)」という仕組みです。
入院患者の場合、どんなに高額で画期的な検査を行っても、あらかじめ決められた「1日あたりの定額入院費」しか病院に入りません。
つまり、患者さんの命を救うために良い検査を行えば行うほど、試薬代がそのまま病院の純損失(持ち出し)になってしまうのです。
「良い医療を提供するほど貧しくなる」制度への疑問
患者さんにとって素晴らしい医療を提供しようと最新技術を導入しても、医療機関側が持ち出しになり、経営を圧迫する。
これが、現在の日本の診療報酬制度が抱えている非常に歪んだ構造です。
病院の経営が圧迫されれば、当然そこで働く臨床検査技師や医療従事者の給与を上げる原資など生まれるはずもありません。
「命を救う医療技術の進化」と「それを支える現場の経済的評価」が完全に乖離しているのが、今の医療現場の切実なリアルです。
まとめ:だからこそ自分の足で立つ「NOと言える自由」が必要
現場で最新機器の凄さに感動する反面、この経営構造を見ていると「組織からの給与だけに依存して生きていくことのリスク」を痛感せざるを得ません。
どれだけ現場で専門性を磨き、画期的な技術で患者さんに貢献しても、制度の壁によって構造的に給与が頭打ちになってしまうからです。
- 制度や組織の評価に自分の人生の豊かさを委ねないこと
- 16年の投資で築いてきたアセットのように、自分の力で資産を増やしていくこと
日本の医療制度の矛盾を冷めた目で見つめつつも、自分の足元ではしっかりと資産形成を行い、相場や組織に人生を握られない「NOと言える自由」を守り抜くこと。
それこそが、この歪んだ構造の現場で働き続けながらも、自分らしく豊かに生きていくための唯一の答えだと確信しています!



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