医療現場で最近よく耳にする「タスクシフト・シェア(タスクシフト)」。
医師の働き方改革に伴い、医師の負担を減らすために「これまで医師が行っていた業務(説明や特定の処置、書類作成など)を看護師やコメディカルに移管しよう」という取り組みです。
ニュースや上層部の会議では「効率的なチーム医療」などと綺麗に語られていますが、現場の看護師の本音は違います。
「ただでさえ人手不足で業務過多なのに、これ以上仕事を増やしてどうするんだ!」
「責任と仕事量だけが増えて、給料は1円も増えないのはおかしい!」
今回は、この「タスクシフト」の本質的な問題点と、労働者が自分自身の身を守るための視点について解説します。
1. 現場の怒り:「まずはそこ(タスクシフト)ではないのでは?」
もちろん、医師が激務で倒れそうになっている現実や、医師の負担を減らす必要性自体は誰もが理解しています。
しかし、現場の看護師が怒りを覚えるのは「順序(順番)が根本的に間違っているから」です。
・1. すでに看護師のキャパシティは限界突破している
ナースコール対応、定時処置、急変対応、膨大な記録作業に追われ、定時で帰ることすら困難な現場に、さらに「医師の仕事」が降ってきます。足元が崩れかけているところに重りを追加しているようなものです。
・2. 業務が増えても「給料(手当)」は増えない
責任の重い業務や手間が増えても、看護師の基本給や手当が劇的に増えるわけではありません。タスクをシフト(転嫁)された側は、単に「タスクとリスクの押し付け(やりがい搾取)」をされているだけです。
・3. 根本的な人手不足や無駄な業務の削減が先
本来やるべきなのは、まず「看護師や医療スタッフの増員」であり、「無駄な書類作業や非効率な業務のデジタル化(DX)」です。そうした基礎工事を放置したままタスクだけを移管するのは、現場への負担転嫁に過ぎません。
2. 構造的問題:病院(組織)の都合で「コスト削減」に使われる労働者
なぜこのような理不尽なタスクシフトが推進されるのでしょうか?
経営や制度の観点から見れば、非常に冷酷な理由が存在します。
・医師の残業代や人件費は高い
・看護師に業務を振れば、追加の人件費を払わずに医師の残業を減らせる
つまり、病院や国からすれば「人件費の高い医師の時間を空けるために、人件費が固定化されている看護師を都合よく使う」という、極めて効率的なコストカット施策になってしまっているのです。
どれだけ現場が阿鼻叫喚になろうとも、組織の構造上、現場の「真面目で優しい労働者」にシワ寄せが行く仕組みになっています。
3. まとめ:理不尽な労働環境から自分の人生を防衛する
医療現場の「タスクシフト」問題が教えてくれるのは、「組織や国の制度改革は、必ずしも現場の労働者を幸せにしてくれない」という残酷な現実です。
どれほど現場で声を上げても、診療報酬制度や組織の構造が大きく変わるには何年もかかります。その間に自分の体調やメンタルを壊してしまっては、元も子もありません。
だからこそ、私たちは労働環境の改善を待つだけでなく、「個人としての防衛策」を講じる必要があります。
・労働収入(g)だけに頼るリスクを知る: どんなに頑張っても仕事量と責任だけが増える構造(タスクシフト)から距離を置く準備をする
・自分の資産(r)を育てる: 給与からコツコツ資金を捻出し、NISAや株式などの「自分以外の資産」に働いてもらう
「この現場に自分の人生のすべてを捧げる必要はない」「いつでも辞められる・働き方を落とせる」という経済的基盤(FIRE)を作ること。
それこそが、理不尽に仕事を押し付けられる現場で自分自身の心身を守り、本当の自由と安心を手に入れるための唯一の解決策なのです。



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