「病院の診療は消費税がかからない(非課税)から、消費税の増税なんて病院経営には関係ないでしょ?」
現場で働いていると、なんとなくそう思っていませんか?
看護師さんをはじめ、医療現場で働くスタッフの多くがこの仕組みを知りません。ですが、実は「医療が非課税だからこそ、病院が莫大な損をしている」という恐ろしい制度の罠が存在します。
今回は、医療業界で長年大問題になっている「控除対象外消費税(いわゆる『損税』問題)」について、分かりやすくお話しします!
一般企業と病院の「消費税」の決定的な違い
そもそも消費税は、買い手(消費者)が払い、売り手(お店)が一時的に預かって国に納める仕組みです。
- 一般企業(スーパーなど): お客さんから預かった消費税から、仕入れで業者に払った消費税を差し引いて、残りを国に納める。(企業自身の懐は痛まない)
- 病院(社会保険診療): 患者さんから消費税を預かることができない(0円)。
ここが最大の落とし穴です。
病院は「払った消費税」が1円も戻ってこない!
患者さんから消費税をもらえない病院ですが、業者から物を買うときは当然10%の消費税を支払っています。
- 高額な医療機器(CT、MRI、検査装置など)
- 毎日のように使うお薬や注射器、検査試薬
- 病院の電気代や建物の工事費用
これらを買うとき、病院は年間で何千万円〜数億円という莫大な消費税をメーカーや業者に支払っています。
普通の企業なら「預かった消費税」から「払った消費税」を差し引いて精算できますが、病院は売上消費税がゼロのため、この精算ルール(仕入税額控除)が使えません。
結果どうなるかというと……病院が支払った数億円の消費税は1円も戻ってこず、すべて病院の「自腹(持ち出し)」になります。
これが医療業界で猛威を振るう「控除対象外消費税(損税)」の正体です。
なぜ現場の「給料」や「設備」に影響するのか?
「建て替えで10億円かかりました」という場合、病院はさらに1億円の消費税を支払うことになります。そしてその1億円は丸々消えてなくなります。
国も「診療報酬に少し消費税分を上乗せしておくから」と弁明していますが、高額な機器を買った年や建物を直した年の支出を補填するには程遠く、多くの大学病院や総合病院の経営を激しく圧迫しています。
- 病院の赤字が膨らむ
- 現場の老朽化した機器が買い替えられない
- 私たちのボーナスや昇給の原資が削られる
看護師さんや技師が「なんでこんなに忙しいのに給料が上がらないの?」「備品をもっと新しくしてよ」と感じる裏には、実はこんな行政制度の歪みが潜んでいるのです。
まとめ:お金の仕組みを知ると、医療のニュースが面白くなる
普段何気なく使っているお薬や医療機器の裏で、病院経営陣が「税金の罠」と戦っていると知ると、職場や医療ニュースの見え方がガラリと変わりますよね。
医療現場で働く人間だからこそ、自分たちの給料や労働環境に関わる「病院のお金の話」にもアンテナを張っておく。
「NOと言える自由」を掴むためには、投資の知識だけでなく、こうした社会や業界のリアルな構造を知っておくことも大切だなと痛感させられます!



コメント