前回の記事で、医療機関が患者さんから消費税をもらえないのに、仕入れで支払った消費税分が返ってこない「損税(かぶり損)」についてお話ししました。
これを知った方の多くは、こう思うはずです。
「そんなのおかしい!政治家や医師会は何やってるの?なんとかできないの?」
実は、日本医師会や病院団体、そして厚生労働系の政治家たちも、1989年に消費税が始まってから30年以上、ずーっと国に「なんとかしろ!」と猛猛抗議を続けています。
ですが、どれだけ叫んでもこの問題は解決していません。
今回は、なぜこの問題が解決しないのか、政治と制度のウラ側にある「2つの大きな壁」についてお話しします。
1. 財務省の「絶対渡さない」という鉄の壁
病院側が主張している一番シンプルな解決策は、医療を「非課税」から「ゼロ税率(輸出企業と同じ仕組み)」に変更することです。
消費税を0%として扱い、仕入れで業者に払った消費税分を、後から国から全額還付(返金)してもらう仕組みです。
これなら患者さんの負担はゼロのまま、病院の損もゼロになります。医療界はずっとこれを求めています。
しかし、ここに立ちはだかるのが「財務省」です。
財務省からすれば、医療機関に還付を認めると国から数千億円レベルの税収が消えることになります。さらに「医療をゼロ税率にするなら、介護や教育もゼロにしろ!」という声が他業界から殺到するのを恐れ、頑なにこの案を拒否し続けています。
2. 「患者負担アップか!?」という世論と野党の壁
それなら、「いっそ医療にも普通に消費税(10%)をかけて、仕入れ分と相殺できるようにすればいいじゃないか」という案も出てきます。
しかし、これを行うと患者さんが病院の窓口で払う費用(3割負担など)に消費税が上乗せされるように見えてしまいます。
政治家としては、「医療に消費税を導入して患者の負担を増やした!」と野党や世論から猛バッシングを受けるのが怖いため、選挙を意識すると誰もこの決断に踏み切れません。
結果として、どの政治家もこの熱いジャガイモ(厄介な問題)を先送りし続けているのが現状です。
国が取った妥協案=「ごまかしの上乗せ」
財務省も政治家も抜本的な改革をしたくない。
そこで国が取った妥協案が、「診療報酬(初診料や入院基本料など)をほんの少し上乗せしてあげるから、それで損した分を自分で回収してね」という曖昧な方法でした。
ですが、このやり方には致命的な欠陥があります。
- 備品をあまり買わないクリニック ➔ 診療報酬の上乗せで得をする(過剰補填)
- 10億円単位で高額機器(CT・MRI等)や建物を買い替える大学病院 ➔ 支払う消費税が多すぎて大赤字(補填が全く足りない)
つまり、高度な医療を担う大きな病院ほど損をするという理不尽な構造が生まれてしまっているのです。
まとめ:仕組みを知らなければ「NOと言える自由」も作れない
現場で働く看護師さんや技師が「なんでこんなに忙しいのに給料が上がらないの?」「備品をもっと新しくしてよ」と思う裏には、こうした政治と行政の歪みがしっかりと影を落としています。
医療現場の課題も、自分の資産形成も、結局は「社会の構造やお金の流れを知っているかどうか」で全く見え方が変わってきます。
愚痴を言っているだけでは何も変わりません。
だからこそ、私たちは業界のリアルな課題にアンテナを張りつつ、個人としてはしっかり投資で資産を育てて「NOと言える自由」を掴みに行く。それが私の生き方です!



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