​毎日フル稼働で満床なのに「赤字」…?病院が忙しいのに儲からない、納得いかない理由

皆さんの職場は忙しいですか?

一般的に、会社というものは「忙しくて商品が売れまくっている=黒字で儲かっている」というのが普通の感覚ですよね。

​しかし、私が働く医療の世界では、いま「どう考えても昔より忙しいのに、なぜか大赤字」という、おかしな現象が起きています。

​ベッドはいつも満床、現場のスタッフは常にバタバタ。それなのに上層部からは「赤字だからコストを削れ」「もっと回転率を上げて早く退院させろ」という通達ばかりが降ってきます。

​「これだけ働いているのに、一体どこがおかしいの?」

​今回は、現場で働く医療従事者のリアルな違和感とともに、「病院が忙しくても儲からない仕組み」について分かりやすくお話しします。

​■ 原因①:物価上昇に全く追いついていない「国の値上げ」

​普通のラーメン屋さんなら、原材料や電気代が上がれば、ラーメンを800円から1000円に値上げして利益を守ることができますよね。

​でも、病院はそれが一切できません。

なぜなら、医療行為の値段(診療報酬)は国がガチガチに決めているからです。

​一応、国も何もしていないわけではありません。まさに今年2026年の診療報酬改定では、医療全体でプラス改定(平均3%程度の上昇)が実施されました。ニュースなどで「医療費が引き上げられた」と聞いた方もいるかもしれません。

​数字だけ見ると売上単価が増えたように思えますが……ぶっちゃけ、現場から言わせれば「世の中の物価上昇率に比べたら、明らかに低すぎる!」というのが本音です。

​ここ数年の激しいインフレで、病院が支払う電気代、医療資材、薬のコストは3%どころではない勢いで跳ね上がっています。国がほんの少しだけ値段を上げてくれたところで、膨らみ続けるコストを全く吸収できていない。これが「働いても働いても赤字」になってしまう最大の原因です。

​■ 原因②:ベッドを「ただ埋めているだけ」では儲からない仕組み

​「でも、いつも満床なら入院費でカバーできるのでは?」と思いますよね。ここに国が仕掛けたもう一つの罠があります。

​今の日本の医療は、「同じ患者さんに長く入院してもらうより、早く退院させて新しい患者さんをどんどん入れ替えた方が、病院にたくさんお金が入る」という仕組み(急性期病床のルール)になっています。

​入院初期は手厚い治療が必要なので国からもらえる点数が高いのですが、日数が経つごとにその点数はガクンと下がっていきます。

​そのため、現場がいくら「満床で忙しい」と言っても、長期入院の患者さんばかりだと病院の売上は上がりません。上層部が「早く退院を促進しろ!」と口を酸っぱくして言ってくるのは、このベッドの回転率(サイクル)を上げないと本当に潰れてしまうからなんです。

​■ 原因③:医療の高度化で「検査やマンパワー」のコストが激増

​昔に比べて、医療はもの凄く進歩しました。高度な治療ができるようになったのは素晴らしいことですが、その分、使う機械や消耗品はどれも超高額です。

​さらに、患者さん一人にかける手間や書類仕事(タスク)も昔より明らかに増えています。

​私のような臨床検査技師も含め、現場のスタッフが「昔より明らかに忙しい!」と感じているのは間違いありません。やることが増えてコストもかかっているのに、入ってくるお金がそれに見合っていないのが、今の医療崩壊のリアルな裏側です。

​■ まとめ:現場の努力だけではどうしようもない

​毎日必死に働いて、ベッドをフル稼働させているのに「赤字」と言われるのは、現場としては本当にモチベーションが下がりますよね(笑)。

​でもそれは、現場の働き方が悪いのではなく、「物価高に追いついていない国の医療制度」が原因です。

​次に病院に行ったとき、看護師さんや技師がバタバタと忙しそうに走っていたら、「あぁ、2026年の改定でも足りないくらい、今の病院経営は大変なんだな……」と、裏側の事情をチラッと思い出してみてください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました